西園寺はどこぞの博士のように顎に手を当てると、「うーん」と考え込んだ。そして、何かを閃いたように顔を輝かせると、再び私へと視線を戻す。


「ああ、したね。それがどうかした?」


はい? どうかしたって、私が聞きたいんですけど。

西園寺って天然なの?

狙ってやってるの?

策士ってやつかな。それとも、ただの馬鹿なのか。


(…いや、馬鹿ではないか。入試で一位だったもんね)


なんだかこめかみがズキズキと痛んできた。

西園寺と話しているからかな。


「こ、困るよ…!あれじゃあ私、高橋さんに何か言われそうだよ…」


私は必死の形相でそう訴えた。

流石の西園寺も、こう言えば理解してくれるだろう。

と、思っていたのだが、現実はそう甘くないようで。


「言われるって、例えばどんな?」


西園寺は首を傾げながら尋ねてきた。

例えばって、数多の女にモテてきたのに分からないのか。


「えっと…ほら、女の子って怖いじゃない?好きな人のことになると、他の女の子のことを恨んだりするし…!」


「…うん?よくわからないな」


「え、ええ!?」