友達はあの頃からずっと、私の気持ちを知らない。

 気づかせてはいないし、気づかれないようにしてきた。

 声を掛けてくる人はいるけれど、他の恋には踏み出せない。

 きっと、私の思いが高校のときのままで止まってしまっているからだ。

 告げないままでは、終わりに出来ない。

 それはわかっていることだけれど。

 短冊を書き終え、ペンを元の位置に返すと、下げる場所を選びに竹へと向かった。

 そこには竹の棒を横にしてあり、そこに短冊につけられた紐を結ぶようにしてある。

 あまり目立たないようなところにつけないと。

 こういう場所は他にも何箇所か設置してあるので、明日は他の場所にしなくちゃと考えながら、下げる場所を探す。

 ちょっと高いけれども、背伸びしたら届きそうなところのいい場所を見つけた。

 背伸びをして両腕を伸ばした。

 もうちょっとなのに、届かなくて。

 この思いはやはり、叶わないのかなぁ。

 そんなことを思っていると、伸ばしている手から短冊が落ちてしまった。

「落ちましたよ」

「ありがとうございます」

 手渡された短冊を受け取って、顔を上げた。

「えっ?月島くん?」

 言葉を失ってしまう。

「久しぶりだね、皆本」

 そこには、月島がいた。