ヘリコプターに無言で乗り込む。

無言で迎え入れるあちらもあちらだが、無言で強制参加のデスゲームに行かされる自分よりはマシなのかと思った。

特に恨みもないので、ヘリコプターなんて大層なものを用いずとも自分なんか逃げはしないのに、とも思った。

セーラー服で成人男性な自分。所謂男の娘なのだが、別にカマっけはないつもりでいる。

むしろ、女になりたいなど思ったことは1回もない。

これは──(両親の趣味だ)


女装を続けているのはあくまで惰性。

顔も女っぽいし、身長も160と小柄な方であるため、初対面の人間は女と間違う。

男としても振る舞うため性別は周知のことだが。

趣味とは言っても別に強制されていた訳では無い。嫌だったら嫌って言ってもいいのよ? と言われていた。それでも嫌がらなかったのは彼がマザーコンプレックスだったからなわけでもファザーコンプレックスだったからなわけでもなく、ただただ断るのが面倒だっただけであった。

(今日が命日になるかもしれないってのに、全く、ボクってやつは。

今日もセーラー服だ。)