匠海「その人は何て言ってるの?」

男同士の会話をするなんて
言っておきながら
俺は匠海に本当の事を
話せなかった。

心のどこかでやっぱり
小学生の息子に現実を
知って欲しくなかった。

受け入れられてないなんて。
望まれていないなんて。
伝えられなかった。

仁「喜んで...くれてる。
お前と一緒に暮らしたい。
そう言ってくれてる。
だから、暮らさないか?」

匠海はやっぱりずっと
妻の顔ばかり見ていた。

もう話す事のない。
遺影の中のその顔ばかり。

何分...何十分の沈黙の後
匠海は言った。