航君に連れられて入ったお店は、子供向けの物が沢山あった。

「これは?」

「う~ん。行進のテンポではないかなぁ
年中さんだと……こっちかな?」

「ダンスは…………」

仕事の話しだと…スムーズに会話が弾む。

幾つかの候補を借りて、お店を出ると辺りはすっかり暗くなっていた。

「うわぁ!すっかり暗くなっちゃいましたね。
ご飯……薄給なんで、ファミレスでいいですか?」

「うん、でも…奢ってもらわないよ!後が怖いもん。」

ファミレスで、オムライスとドリアを頼んだら

「先生!!………………ごめんなさい。」

急に、真剣な顔で謝る航君。

…………??…………………………?……………………??……………。

航君の優しさに、利用して甘えたのは唯なのに………

どうして航君が謝るの??

訳が分からず、首を傾げていたら……

「俺……先生に、ウソついてて。
今日のプリン。……あれ、俺が買ったんじゃないんです。
唯先生が、お昼を抜くから……強引に食べさせてって……
森先生が持たせたんです。
先生……プリンが好きなんですね。
これなら元気が無くても食べるからって……。
今、こうしてご飯を食べてるのも……森先生に頼まれたからで……
何でもいい、一口でもいいから…食べさせてって。
………森先生……本気で心配してますよ。
それに………大切にしてる。
お昼のプリンやパンだって、お店の開く時間に……
ワザワザ買いに行ったんですよ。
なるべく栄養があるものをって…。
本当は、ばらしたらマズイんだけど……森先生の優しさを隠しておけなくて……。
あぁ~………。明日どやされる~!!」

そう言って、笑顔を見せてくれる航君。

………………………なんだ…………。

先生に嫌われた訳じゃないんだ!

航君も………先生も………優しすぎだよ。

もう、どれくらい泣いたか分からない涙が………また溢れてきた。

オムライスとドリアを運んできた店員さんが…

航君をチラッと見て

「お待たせしました。」って、言葉少なにソッと置いて立ち去った。

………ごめんね。………きっと航君………悪者だよ。