警察には行かないこと。

女の人が落ち着いたら直ぐに、先生達に連絡してくれること。

落ち着くまで連絡は先生達を通すこと。

結婚する時には、報告することを約束した。

離婚届を書くのも、みんなで見守り…………

笑顔でこの家を後にした。

「ごめんな。」

いつものように、優しく頭を撫でながら微笑む先生。

大丈夫だよ。

もう泣かない。

家族が戻ることはなかったけど………

あのまま戻っていたら…………無理があったはずだから。

女の人のした事は…………怖くて許せないことだけど

収まるところに収まったようにも思えるの。

「先生、ありがとう。
先生が動いてくれなければ…………唯は被害者のつもりでいた。
帰らない家族を待って、家を守ってると。
でも…………私がそうする事で
尋ちゃんは一人で耐えて、女の人と子供は……淋しい思いをして
お母さんだって、母として苦しんでいた。
今は、これで良かったって心から思っているよ。」

笑顔の唯に

「いい子になるな。」って頭を引いて、抱き寄せてくれる。

「泣きなさい。
いっぱい泣いて。
文句だって聞いてあげるから………心を空っぽにして…………。
それから…………楽しいことをいっぱい詰めていこう!
唯は………頑張ったんだよ。
誰よりも俺が知ってる。
尋ちゃんだって、お父さんやお母さんだって………
それぞれに苦しんだだろうけど………
それと唯が頑張ったことは別だろう?
唯が頑張ったことは無駄じゃないし、唯が頑張ったから
尋ちゃんだって高校卒業まで家族で居られたんだよ。
いつもいうだろう。
自分の評価は自分でしてあげなさい。
偉かったよ。」