「女の人の言葉に、怖さとは違うショックで………固まっていたら
車の窓ガラスを叩いて『ママ、ママ。』という赤ちゃんが居て………。
子供の方を向いた瞬間に、洋介さんのお店に飛び込んだの。」

「分かった。もういいよ。」

優しく背中を撫でてくれる先生。

和也さんは…………………とても怖い顔をしてる。

「警察に話す？」

洋介さんの言葉に………

急に生々しく感じた。

幼稚園の事件で……事の大きさはよく分かる。

警察が動くと………どうなるかも。

あの赤ちゃんは？？

お父さんは？？

悲しむ人が、沢山出る。

一番心配なのは、やっぱり尋ちゃん。

やっとやりたい事を見つけて……大学に進んだのに……。

ウチの事で、これ以上傷つけたくない。

それでも、このままにしておけない。

もしも、女の人がこれ以上逆上したら………

大切な人達に被害が及ぶことだってあるから………。




「尋ちゃんに………子供がいるって話さないと…………。
もしも………尋ちゃんに被害が及んだら…………。
でも………傷つけたくない。」

悩む私に………

「唯さん…………。
尋は………女に子供がいる事…………知ってます。
唯さんが知る…………ずっと前から。」

えっ？

和也さん………何を言ってるの？

ずっと前って…………。

尋ちゃんが…………知ってるって………。

………………………………………………。

戸惑う唯の目を見て………頷く先生。

えっ？

尋ちゃんが知ってること……………先生も知ってるの？？