ヒカルの提案を、最初はぎょっとして
聞いていたけど。

真剣な様子を、茶化す気にはなれなかった。

ヒカルが求める幸せが、普通なんだと思う。
あたしが普通じゃないだけで。


あたしは…彼もどきと
結婚の話をしたことは、無い。

向こうはどう思ってるのか、
わからないけど…。

でも、時々、子供の話をする顔が
オトウサンなんだなと…思わせる。

なんとなく、自分と違う生き物に
見えてしまうのは、何故だろう。

彼の家族には、あたしはなれない。

なりたいと思わない。

それが、あたしの…彼への気持ちの限界
なんだろうな。




ちいちゃん!!聞いてる??


ふと我に返り、ゴメンゴメンと謝ると、

もうー!と言うヒカルの顔。
年の割に幼く見える、可愛らしい顔なんだから
モテてもおかしくないのに。
なんでご縁がないかねぇ…


まあ。出会いが無いってのは確かにね。

と、つぶやくと。

でしょ?でしょ?
と、ヒカルが嬉しそうにする。


具体的に、どうしようとしてるの?


ちいちゃん!気になる?気になるよね?
これこれ。これ見て?

スマホの画面をこちらに向けて、
ニコニコと満足げな顔。


気になる…わけじゃ無いんだけどな。