仕事が少し長引いて、急いで向かうと。

待ち合わせ場所には、コウキとヒカルが
向かい合って座っていた。

心なしか2人ともぎこちない。

ゆっくり近づいて、声をかけると
2人してビクッと振り返った。

あ、ちいちゃん。
と、嬉しそうにするヒカルだけど、
…緊張してる。

そうだよね…。あたしもだもん。



ヒカルの隣に座り、飲み物を頼むと

コウキが、
じゃあ…俺の話聞いてもらってもいいかな。
と、ゆっくり話し出した。



あれから…しばらくは、どうしたらいいのか
わかんなくてさ。

俺なんか、そんな…想われるような価値ある
すごい奴でもないのに、何を偉そうに選ぼうとしてるんだ?
2人とも、俺には勿体ないのにさ。
いい年して、浮かれてんのか!
調子乗りすぎだろ!

…てな感じで、もう自己嫌悪の毎日よ?

いかにも大変だったーという感じで
明るく言うコウキ。

つい、緊張してるあたしたちも笑ってしまう。


それを見て、少しホッとしたのか、
ちょっと真面目な顔をして、続けた。

だから…
正直、2人とも辞退させてもらった方が
いいんじゃないかと思った。


ぎゅっと心臓をつかまれた気がした。
そういう選択も…あると思っていたから。


それに…
時間があけば、もしかしたら…
夢から覚めるみたいに、
2人とも我にかえるんじゃないか?
とも…思った。


だから、時間は必要だと思ってたんだ。