千恵さん。
小さい時、お友達と遊んでてオモチャ取り合いになったら、どうする子供でした?

電話の向こうから、明るい声がする。

え?
佐久間さんが、何を言いたいのか…
わからないまま。

あたしは…ケンカになるのが嫌で、
差し出してましたね…。


なるほど。
じゃあ、今回もヒカルさんに差し出したら
いかがですか?


そう言われて、ムッとした。

コウキは、オモチャじゃありません!
怒りで、そう叫んでしまっていた。


…そうですよ。
コウキさんは、オモチャじゃない。
差し出す必要も無ければ…あなたのモノ
でもない。
誰が自分を必要としてるか、自分で選んで
決められる。


ギュッと胸が痛む。



千恵さんにできることは…
素直な気持ちを、伝えることだけじゃないですか?

カッコつけたり、ヒカルさんに遠慮したり
しないで、思いっきりぶつかってみたら
いいじゃないですか。

自分にとって何が幸せかは、他人に決めてもらうものじゃない。
自分で決めるものですよ。

欲しいものは欲しいって言わないと。


…まあ、僕としては、
うまくいかない方が嬉しいですけどー。と、
ふざけたように笑ってる。


佐久間さん…優しいんですね…。

ん?
千恵さん、僕だって、誰にでもそうする
わけじゃありませんよ?
欲しいものは、僕も欲しいって言いたい。

でも、千恵さんよりは少し大人なので…
ジタバタしないで待ってますから。

まずは、頑張って。