千恵?電話くれたよね?


コウキ!
あの…あのね、今日…あの…

慌ててうまく言い出せない。



受話器の向こうから、ふっと笑う気配が
聞こえた。


待て待て、千恵。落ち着いて。
今日…パーティ来てたんだろ?


え?!なんで!?


…あ…!


今頃、気づいたのか。
随分慌てたんだなぁ。千恵らしくない。


言われて、初めて気がついた。
落ち着いて考えればわかることだ…。

スタッフなんだから、参加者のこと
知ってて当然…だよね。


はぁ…。
ため息がもれる。
ほんとに、あたしらしくない。
何を焦ってるのか…。

でも…。

なんで、言ってくれなかったの!?


ん?
…じゃあ、千恵は?
なんで黙ってた…?


それは…ヒカルに誘われたパーティで…


ヒカルさん?


あ、そう!ヒカル!

連絡先…もらったでしょ?
もう電話した…の?


いや。まだだよ。
千恵の…友達なんだろ?


うん…。
ヒカルは、大事な友達だよ。
すごくいい子で。

でも、まさかコウキを好きになるなんて…。