会場が、今日一番のにぎわいを見せていた。

あちらこちらで、歓喜の声や、嘆きの声が
聞こえてくる。

ヒカルが…覚悟を決めたようにコウキに
向かって、まっすぐ歩いていくのが見えた。

ヒカル…!!



千恵さん?

少し離れた場所で、ヒカルをずっと
見つめていたら、後ろから声がした。

振り向くと、ちょっと驚いたように

大丈夫ですか?顔色が悪いですよ。
と、あたしの顔を覗き込む。


あ…ごめんなさい。
なんでもないです。



…そうですか?
なんでもなくは…なさそうですけど。


…そんなに、ひどい顔してますか?


今日初めて会った僕が、わかるくらいです。


言いたくなければ、無理には聞きませんけど。
ちょっと心配です。
と、穏やかに言われて。

少しだけ、甘えたくなってしまう。
あたしが?めずらし…。自分でも不思議。

あまり、この人のこと知らないくせに。
あたし…
信用していい人だと、ジャッジしてるの?


じっと見ていても、目をそらさない潔さに
覚悟を決めて。

あたしは…ヒカルの想い人の、説明をした。
もちろん…あたしとのことも。




聞き終わった彼は、

千恵さん…
あまり感情的な人には見えませんでしたけど、
ちょっと意外ですね。と、微笑んだ。