頭の中で、ぐるぐると言葉が回る。
ほんと、素敵な人だねって言えばいい?
でも…
黙ってていいの?
あの人、バツイチだよって?
子供もいるよって?
あたしの、彼氏もどきだよって…??
…言えるわけない…。
そう言えば、なんの仕事してるかちゃんと
聞いたことなかった…。
イベント会社だとは…言ってたかな。
その程度の興味しか…なかったってことだ。
あたしにとっては。
でも…ヒカルにとっては…。
どうしよう。どうしたらいい。
ヒカル…。
顔を見つめたら、やっぱり不安げな顔を
してあたしを見てる。
すると、周りがガヤガヤし始めた。
連絡先の交換が、始まったらしい。
ヒカルにも、1人の男性が近づいてきて、
声をかけた。
ヒカルは、驚きながらも、丁寧に話を聞いて、
交換したい人がいるんですと、謝っていた。
ヒカルは、本気だ…。
あたしが、どうこう言う筋合いは無い…か。
コウキが…
連絡先を受け取るかどうかも
わからないし…。
受け取って、万が一、付き合うことになったら
きっと、コウキは自分から話すだろう。
その時は、あたしとのことは、コウキには
伏せてもらおう。
あたしとのことなど…余計なことだ。
うん…そうするしかない。
あとは…コウキの気持ち次第…。