疑ったことを謝ろうと顔を上げた。

「あ。」

そう言ったのは、あたしじゃなくて奏。

「なに?」

「母さん、ほったらかしだ…!」


そういえばカオリさん、ううん。
お母さんが来てるって言ってたな…。


じーっとあたしを見て、

「この際だし、ついでに紹介するか?」

「へっ!」


そんな…!
心の準備が……!!


そんなのはお構いなしで、あたしの手を引く。




奏の手を握ると
ま、いいかな?って思えてくる。

奏の顔を見ると
安心する。

奏の声を聞くと
ずっと聞いていたい、って思う。


だから、ずっと
その声を聞かせて?


奏が、奏の声が大好きだから。

だから、ずっと一緒にいて…。


【完】