「いいよ。じゃあ、ばいばい。
 ……今までありがと。」

『へ?何、いきなり?』

「もう、部屋にも行かないね?」


そこで、電話を切った。

最後に『結月!?』
って声。


これで、良かったんだよね?


こうしなきゃさ、
カオリさん、可哀そうじゃん?

あたしだって、辛いままはイヤだもん。



ケータイのストラップの先を軽く持って歩く。

いつ落ちてもおかしくない位の力で。


落ちてもいいや…。

また、誰か拾ってくれるかな…?


頬に生暖かいものが伝った。


どこに向かってるかなんて知らない。

ただ、ぼーっと歩く。

自分でも何を考えてるのか分からなかった。


「ねぇ、何で泣いてんのー?」


無駄に語尾が伸びたコトバ。

無駄に高い声。


なんか、この声無理して出してんのかな?

辛そうだなー。


「シカトかよっ。」

同じような声がもう一つ。


「失恋でもしたのー?」

……失恋か。

そっか、これ失恋っていうんだ。