“幸せ”だって無くして気がついた 馬鹿な僕だから



「娘を殺したあの男が出所してから・・・
また頭痛が始まったんです。」


気付くと話題は、エリコさんが殺された直後に苦しまされたという頭痛の話題に変わっていた。


「夜眠っていると・・エリコの声が聞こえてくるんです・・。

“助けてお父さん”と・・。

エリコはずっと私に助けを求めてくるんです・・。」





・・・どうすればいい・・・?


“誰かに迫田殺害を依頼したのか?”
と切り出したい気持ちをグッと堪える。




「そんな悪夢と頭痛も・・ようやく最近は治まってきたんです。」


「・・・それは・・迫田が死んだからですか?」


「・・・はい。

誰かが娘の仇をとってくれた。
それが嬉しくて・・・。

年老いて力が無くなった私の代わりに・・
誰かが・・。」


「・・・そうですか。」