「いえ、こちらの方こそ突然お邪魔してしまったのでお気になさらず
ですがお顔の傷です、もし残ってしまったら、社交界でも傷ものとして扱われてしまいます
せめて傷が消えるまで、責任を取らせてください」

そうは言われても、別にわたしは気にしないのに…

「えっと…責任を取ると言ってもどのように…?」

「傷が完全に消えるまで、仮婚約をしていただきたいのです」

仮婚約…仮ならいいのかな

「わかりました、あくまで仮、ということでよろしくお願いします」

わたし、ユリミーア・ムラミストはこうしてエリック・ハリス・オーバートの仮婚約者になってしまった