私は毎日、毎晩腕を切り続けた。傷がついてるとこは完治してないと切りにくい。だから毎日少しづつ位地を変えていった。
リストカット以外ではなんとか普通に振る舞えた。私が笑う。そうすると母が、父が、姉が笑う。嬉しかった。
一年遅れにはなるものの、高校受験も真剣に考えていた。一日も早く、元の自分に戻り、みんなを安心させたかった。
季節は梅雨を迎え、毎日の様に雨が続く。すると、もう大丈夫と思っていたレイプの記憶が目を覚まし、また私に襲い掛かる。
雨の音に反応し、私は人形になる。記憶が目を覚ますと、有り得ない話なのだが、その日にトリップしてしまう感覚になる。
今、まさに体をまさぐられ、ビデオカメラで録られている。口には賀川のあれを入れられ、私の下はもう一人の男のものが出たり入ったりしている。私の手を押さえる男。交換で私の口、下、に男のあれが出入りする。
雨がやむと私は無心で腕を切った。ところ構わず、切りまくった。
当然、目立つ位地も切ってしまっていた。こうなってしまえば、どこを切るなどと考えてられないのだ。
切るだけ切ると、少し落ち着いた。そしてばれないように長そでをはおり、なにごともなかったように生活した。
季節は夏を迎えた。薄いながそでを羽織る。雨が降る回数は減ったが、私の左腕はボロボロだった。治りかけの傷痕が生々しいほど残っていた。
傷口が開いたり閉じたりしたため、傷あとはぷっくり赤くふくれあがっていた。
(なんで私が切らなきゃいけないんだろう…)
賀川達を殺したい気持ちだった。私だけなぜ?という気持ちで一杯だった。
しかし、さすが親である。夏でもながそでを着ている私をおかしく思わないわけがない。
ある日、お風呂に入ろうと脱衣所で服を脱いでいたら突然、母が入ってきた。無防備に露出した私の左腕。母は私の腕をやさしく握り、何も言わなかった。
黙って私の腕を見つめる母を見ていたら、余計に辛くなった。
「ごめんなさい…」
精一杯の私の言葉。母はきつく私を抱きしめてくれた。私は何度も謝って泣いた。母は終始無言だった。