加恋って… どういう事だ??
何、人の奥さんを何呼び捨てにしてるんだ?

だが、しかし、俺は感情を表に出さない。
……そう決めたので頑張ります。


「初めまして。
加恋の夫の中山トオルと言います。

うちの会社は名刺とかいう日本的なものを持ち歩かない外資系企業なので、自己紹介だけ口頭でさせて下さい」


俺はそう言うと、EOCで東京支社のキャップとして働いている事を嫌味にならない程度に説明した。

その町田という男は、確かにイケメン度数は高い。
背も高いし、職業柄かいい具合に筋肉質だ。

でも、何か匂ってしまうのは俺の気のせいか?
俺はそんな事を考えながら、この町田という男をさりげなく観察した。


「加恋ちゃんが結婚する事に僕は反対だったんですけど、今日、旦那様を拝見してちょっと納得してます。

“EOC”は世界でも五本の指に入る超一流外資系企業で、そこで働く人間は顔も学歴も全てにおいてそのEOCに見合った人間じゃないと採用されないと聞いています。

それも男性だけ、限定で…」


俺はさっきの匂いの原因を突き止めた気がした。

はは~ん、こいつはバイセクシャルだな…
俺の周りにこの手の人間が多いから、雰囲気と話し方ですぐに分かってしまう。

俺はそれならそうと、対策を変更した。