加恋の体調の悪さがとても気になる。
もし、何か大病だったりしたら…

俺の中で息もつけない程の恐怖が舞い降りる。
加恋が死んだら、俺は生きていけない…
俺はハンドルを力いっぱい握りしめた。

というか…
こんな極論を考えている俺は、やっぱり壊れている。
それも、渋滞の中、車を運転しながらなんて。

壊れた事がない俺がこんな風に壊れるなんて、愛のパワーって本当に凄まじいな。

そんな風に悶々としている俺の腕に、加恋がもたれかかってきた。


「何だか車酔いしたみたい…」


俺はすぐに近くのコンビニに車を停めた。
そして、小走りでコンビニのトイレへ走っていく加恋の後をゆっくりと追いかける。

昨夜、加恋が食べた物を必死に思い出した。
何も問題はない、じゃ、何でこんなに具合が悪いんだ?

俺は心配し過ぎて胸が張り裂けそうだ。
頼むから変な病気じゃないよな?

コンビニから出てきた加恋の肩を、俺はすぐに引き寄せた。


「歩けるか? 
抱っこして車まで連れて行こうか?」


俺の過保護熱はマックスまで達している。
肩を引き寄せ、腰を引き寄せ、とにかく抱っこがしたくてしょうがない。


「トオルさん、大丈夫だから。
ほら、早く事務所へ行かなきゃ、町田トレーナーが待ってるよ」