「加恋ちゃん、明日は、何限目から始まる?」


トオルさんはお風呂上りの私の髪を梳かしながら、そう聞いてきた。

あ、別に、髪を梳かす事を強要しているわけではないですから…

トオルさんがそうしたいというので、じゃ、お願いしますといった感じで、それは毎日の日課となってしまったのであります…


「明日は二限目からだから、11時からかな」


私はドレッサーの鏡に映るトオルさんの顔を見ながら、微笑んでそう言った。

今、私は、写真の専門学校へ通っている。

モデルの仕事を辞めた私は、何もする事がなくなりちょっと鬱になりかけた。

そんな時写真を撮られてきた経験から、写真を撮る事にも興味がある事に気が付いた。

トオルさんは私を愛し過ぎるあまり、私を外へ出したくないらしい。

でも、私に嫌われたくない気持ちも強いあまり、私の願いはいつも叶った。

優し過ぎるトオルさんは、きっといつも我慢している。それが見ていてちょっと辛かった。


「了解。
いつも通りに、車で学校まで送って行くよ」



トオルさんは必要以上に私に甘い。


「電車で行くから大丈夫。
トオルさんは、明日の朝は早出の日なんだから」