「世界へ出て行くって並大抵の努力じゃできない。
俺は、加恋ちゃんにそんなキツイ思いをさせたくないんだ。

嫌になったらいつでも止めていい。
いや、止めてもらう事の方が俺は嬉しいな…

ジェイクハミルトンって、かなり厳しい奴らしいぞ」


俺はここら辺で止めた。
止めなきゃ、映司から聞いた卑猥な事まで言いたくなるから。


「加恋ちゃん… 愛してる…

愛してるから、君の好きなようにさせる。
でも、俺はいつでもここにいるから。

いつでもちゃんと、加恋ちゃんを見守ってるから。
それだけは、覚えといて…」


繭のようなハンモックに包まれながら、俺は加恋の瞳をジッと見る。
俺の愛の囁きに頬を赤くしている加恋の可愛らしさに、俺は骨の髄までとろけてしまう。


「……トオルさんは、私がモデルをする事がそんなに嫌?」


死ぬほど嫌だ!なんて、大人の俺はそんな恥ずかしい事は言えない。
でも、俺はその答えは保留した。

その意味を加恋に分かってもらいたかったから。