「俺は、無理してまでその最終審査に参加してほしくないのが本音…

だけど、それは、加恋ちゃんが決める事だから。それ以上は何も言わないけど。

明日、社長に会う理由は、条件を出すつもりでいる。
加恋ちゃんに掛かる経費は、俺が全部負担する。
エア代もホテル代も、スタッフの旅費等諸々も、もちろん」


俺にもたれていた加恋は、体の向きを変え俺の顔を覗きこんだ。


「何で?
経費はちゃんと事務所が出してくれるのに」


俺は化粧をしていない時の加恋が大好きだ。
特に、風呂上りのちょっと頬がピンク色に染まった自然体の姿は、本当に美し過ぎる。


「出発まで一か月近くある。
いや、出発してニューヨークに行ってからでもいいんだ。

加恋ちゃんが嫌になったり苦しくなったりしたらすぐにやめれるように、事務所の事やら気にして我慢しないように、俺のポケットマネーで全部出す。

全部出しても大したお金にはならないよ。

俺がどれだけ稼いでるか、ちゃんと知ってるだろ?」


加恋はポカンとした顔で俺を見ている。