俺はいつもより早く家へ帰り着いた。
いつも笑顔で出迎えてくれる加恋がいないだけで、俺の心は泣いている。
加恋と結婚して俺の生活は180度変わった。
17歳の加恋に一目ぼれして、唯一相談に乗ってもらった伊東凪には犯罪者と言われ、俺は自分自身のプライドと加恋のためだけを思い、加恋の20歳の結婚式を迎えるまでは野獣の部分をひた隠しにし、清き高校生のような交際をしてきた。
そんな日々を乗り越えて今がある。
バラ色とはきっと今の俺を取り巻く全ての色の事で、その幸せの色合いは加恋がいる事によって美しく彩られた。
俺は加恋のために食事だって準備する。
加恋の好きな物はもちろんの事、体にいいもの美味しいもの、加恋の美貌と健康を俺は維持し守っていく事を自分に課している。
加恋を愛し過ぎるあまり、多分、俺はほぼ壊れている。
今までの人生、頭脳に美貌に学歴職歴、全てにおいて頂点を極めてきた。
自分が有能なゆえに、恋愛においても仕事においても物足りない事だらけの人生だった。
そんな俺が壊れてる??
最高じゃないか。
自分をコントロールできないこのジレンマは、俺の右脳にビシビシと新しい感情を送り込み破壊させ、俺を痺れさせた。



