俺はそんな二人を置き去りにして、自分のブースへ戻った。
さっきの映司の言葉が頭の中をグルグル回っている。
こんな事になる事は百も分かっていた。
だから、加恋にはモデルを辞める事を約束させた。
俺は、もう一度自分のパソコンでジェイクハミルトンについて調べてみる。
でも、調べれば調べるだけ具合が悪くなるだけだった。
加恋を行かせたくない、でも、加恋は行きたがっている。
こうなったら、俺が休みを取って付いて行くしかない。
俺は加恋から聞いてあった日程を、自分の仕事のスケジュールに照らし合わせてみた。
俺は、パソコンの蓋をバタンと閉めた。
どうしても外せない会議がちょうど真ん中に入っている。
最悪だ… 八方塞がりとは今の俺の事だ…
俺は今の時間を確かめた。
10時半をちょっと回っている。
加恋の専門学校の一限目がちょうど終わった時間だ。
「もしもし、加恋ちゃん?」
メッセージでもいい事を、あえて電話をする俺は本当に救いようがない。
「あのさ、加恋ちゃんの事務所の社長とちょっと話がしたいんだけど、電話してもいいかな?
そのニューヨーク行きの事で…」



