俺の理性は吹っ飛ぶ寸前まで来ている。
吹っ飛んでしまったら、明智くん、悪いが君が犠牲者になるのは間違いない。


「い、色男って…
そ、その、モデルに手を出すとか、そういうやつか…?」


俺はわなわな震える手を必死に隠しながら、明智君にそう聞いた。


「そういう噂もあります。
でも、本当のところは分かりません。

ジェイクは謎に包まれていて、いや、あえて戦略的にそうしているのかもしれませんが、モデルは自分の方から抱かれにいくという噂もあるみたいだし」


「もういい、分かった」


俺はギリギリの精神状態の中、作り笑顔を浮かべ大人の対応に徹した。

もうそれ以上何も言うなよ。
俺のこの笑顔の奥にある沸々と煮えたぎる恐ろしい情熱を刺激する事になれば、明智君、君はクビだ。残念ながら…

俺は明智君からもらったコーヒーを一気に飲み干した。

そして、後ろを振り返ると、俺は最悪な状況に天井を仰いだ。
なぜなら、そこには、会社一面倒くさい映司が立っていて、興味津々に俺を見ていたから。