恭弥と別れ、私は家を出た。




車の音、行き交う人たちの笑い声、犬の吠える声、



何にも耳に入らない。




力無く肩からぶら下がった鞄に、


ほんの一瞬不自然な重みが加わったのも、




もうなにも、気にならなくて。





雨音「…駄目だ、こんなの。


私は恭弥がいなくても生きていける……



恭弥なんて…いなくても……っ」




溢れる涙を抑えようと、


鞄の中にあるハンカチに手を伸ばす。




その時気付いた。



……財布らしきものが、無い。





雨音「え、嘘」




財布…まさか盗まれた……?!





雨音「…嘘…でしょ…」





さすがに笑えない。


こんなの、生きていけない




……もう嫌だ…。


私何かした?悪いことした?



それなら謝るから。土下座でも何でもするから。



だから神様……




雨音「助けて…っ」



??「大丈夫??」