「にゅうえんおめでとうございます。」

「おぉ!遥ちゃんも、いよいよ幼稚園ですねぇ~
待ってましたよ!
これで、3人みんなママの手を離れるんですね。淋しくないですか?
はるかちゃん、これからおねえちゃんといっしょにバスにのれるね。
いっぱいあそぼうね。」

保護者といっしょに登園して来る子供たちに声をかけながら

オレは…

さっき不安そうな表情をしていた彼女を探した。

『先生。』

声を掛けようとしたオレの目に写ったのは……

「大丈夫!悠人先生に沢山教えてもらった。出来る。」と

一生懸命に自分に言い聞かせ

笑顔を練習している彼女の姿だった。

…………彼女は…不器用で…かなり鈍い。

自信がなく、いつもオドオドしている印象があるけど……

本当にそれだけだろうか?

オレが気負い過ぎて……彼女に無理をさせてなかったか?

彼女……唯先生は…

子供たちはもちろん、同期や先輩…園長や主任までが気に入って可愛いがっている。

いっぱいな彼女は気づいていないが……彼女が来るとみんなが笑顔になっている。

……ただ一人、オレを除いて。

別に、嫌いな訳ではない。

むしろ気になって……目がいってしまう。

なのに……

目に入った彼女にイライラが止まらない。

それなのに……

今目の前にいる彼女は……

可愛いと…応援したくなっている。