「よっしゃ行こう。」
そう言った彼の手にはバスケットボールがあり、嬉しそうに笑っていた。
その姿を見ただけで、彼はバスケが好きなんだと伝わってきた。
バスケ部、入りたかっただろうな。
「本当に久しぶりだから超楽しみ。
相手してくれてありがとうな!」
そんな表裏のない真っ直ぐな笑顔を向けられると、私はその誘いに乗ってよかったなって思ってしまう。
「別に、引退試合のために練習しないのも確かだから。」
「ははっ、確かにそうだな。
でも休むことも大事だろ?」
「そうだね。」
休むことは大事。
でもオフだからって家に帰る時間が早くなるだけだ。
結局私の心休まる時間なんて、ない。
家でも外でもそれは同じ。



