「優梨。」
私が洗面所で手を洗いに行こうとしたら、お父さんに呼び止められた。
「どうしたの?」
と聞いてみれば、お父さんは少し言いにくそうな顔をする。
「その、なんだ。
前に話した時からもずっと会ってないのか?」
その言葉で、何が言いたいのかわかった。
彼のことを言っているのだ。
こうやって何かと心配してくれるお父さんの優しさに思わず笑みを浮かべる。
それはもう、自然に。
「あれからもずっと、会ってないよ。
それにもう、颯汰(そうた)はいないから。」
この現実を、受け止めないといけないのだ。
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