「………いつか自分潰れるぞ。」 それは呟くような彼の声だったけど、私の耳にまではっきりと届いた。 自分が潰れる? 逆に自分が潰れるってなんなの? 自分を見失うこと? ならもう、潰れているのかもしれない。 だって“自分”がなんなのか、どれが本当の“私”なのか、“私”が何をしたいのか、わからないから……。 全部どうでもいいと思っている私に、彼の真っ直ぐな瞳はあまりにも眩しすぎた。 だからこそ自分の惨めさが際立って、余計苦しさが増したんだ。