「もういい。
じゃあ一人で行く。」
彼と二人で行くくらいならそっちの方が何倍もマシだ。
「そんなこと言うなよ。
はっきり拒絶されると悲しいじゃん俺。」
「あんたが余計なことするから……!」
「意外と感情的になりやすいんだな、優梨って。」
私は怒ってるっていうのに、彼は気にせず笑顔をみせた。
裏表のない真っ直ぐな笑顔を向けられ、それ以上何も言えない。
このまま怒り続けたところで彼はなんとも思わないだろう。
むしろ彼の思うツボだ。
「……なんで一人になろうとするんだよ。」
また、朝の電車の時のように落ち着いた声で静かに話す彼。
やめて、これ以上聞こうとするのは………
「だからなんで、あんたに話さないといけないの?
私が話したところであんたには関係ないし、どうなることもできないでしょ?」
友達も家族も部活も勉強も
全部全部全部、私の敵だ。
私に味方は………いない。



