リビングに行くとお父さんはソファに座っていて、新聞を読んでいた。



「お父さん、優梨が帰ってきましたよ。」



お母さんの言葉に反応したお父さんが、視線の先を新聞から私の方へと変える。



やっぱり見られると緊張してしまうけど、前のような嫌な感情は全く湧かなかった。



「お父さん、久しぶり。」



緊張してるのがバレないように、なるべき平静を装って話す。



「………ああ。元気そうだな。」



お父さんの返事はぶっきらぼうだったけど、その中に優しさがあるのを私はもう知っている。