ーーー「お前ら、五月の最初にに遠足あるの知ってるな?俺たちのクラスはバーベキューだ。」



その日の朝のホームルームの時間に、担任の先生が突然そんなことを言い出した。



その瞬間クラスが一気に騒がしくなる。



高校三年、最後の遠足。
これ以降は体育祭や文化祭といった校内の行事しかないからだ。



遠足までの日にちを数えると、あと一週間とちょっとだった。



「でもバーベキューの場所は決まってない。
だから遠足委員を決めたいと思う。


やりたいやつは挙手しろー。」



なんの前触れもなく突然遠足の話をしたくせに、そのまま話を進めようとする先生にみんな戸惑っていた。



そんないきなり遠足委員なんて立候補するわけないでしょ。



なんて思っていたら予想通り誰も手をあげない。



当然だ。
これが当たり前だから、と思っていたら……



「先生、俺やります。」



と、誰かが手をあげそう言った。



その声の主は確認するまでもなく、誰なのかわかって………




「おお、桐原やってくれるのか。
さすがだな。」




先生は満足そうに笑った。
立候補したのはクラスの人気を集めている彼。