「優梨、おはよう!」
「………はぁ。」
ため息しか、でない。
毎朝毎朝、私が車両を変えても彼……桐原颯汰は私を探して同じ車両にやってくる。
それなら電車の時間を変えればいい話だが、この電車が一番いい時間なのだ。
遅刻の可能性があるくらいなら、彼がいてもいいからこの電車にした方がマシだと判断した。
「なんで毎回私と一緒に行こうとするの?」
初めて彼と会ってから二週間が経とうとしている今日。
ずっと思ってた疑問を彼にぶつけてみた。
私が彼をどれだけ冷たく接しようと突き放そうと、彼はなかなか諦めようとしない。
いつになったら終わるのだろう。
きっと彼の気まぐれだ。
もうすぐ終わるに決まってる。
だから私は彼と決して深く関わろうとはしない。