たとえ君がいなくなっても私は忘れない




「俺は桐原 颯汰!
よろしく。」



「桐原くんって言うんだね。」



鈴香はどうやら彼の名前を聞けて嬉しそうだった。



彼の名前知ったところでどうにもならないっていうのに。



バカにされるんだよ。
不自然な笑顔って。



結構根に持つ私もどうかと思うけどさ。



「じゃあ行こっか。」



彼がそう言うと鈴香は嬉しそうに笑い、頷いた。



そして私の隣から彼の隣へと移動する。
大胆だな……。



でも今の一瞬で気に入ってしまうほどの何かを彼は持ってるのだ。



それはすごいことだと思う。



転校初日でもうこんなに男女問わずたくさんの人たちに好かれ、彼の周りには人が集まっているのだから。