「もー、優梨!
転校生と仲良くなったんだったら言ってよね!


いいなぁ。」



羨望の目で私を見てくる部活メンバーたちだけど、何がそんなに羨ましいんだろうか。



「普通にかっこよくなかった!?」
「本当に!しかも早速名前呼びって軽いのかなぁ。」



その後も彼の話ばかりしていて、私は何も喋らず帰る準備をする。



頭の中はどうしたら彼と帰らなくて済むのか、ということだった。



「いいなぁ、あの転校生と一緒に帰れるなんて。」



そんな時、副キャプテンの鈴香(すずか)がそうぽろっと口にしたのを私は聞き逃さなかった。



「じゃあ、鈴香も一緒に帰らない?」



鈴香も電車なはず。
一緒に帰るなんてことは滅多になかったけど。



私が帰る準備が終わり次第、誰よりも早く帰るからだ。