「ほら、俺らの担任って体育の先生じゃん?
だから職員室じゃなしに教官室に呼び出されたんだ。


その時に優梨がバスケしてるの見てさ、かっこよかったな!」



裏表のない笑顔を私に向ける彼は眩しい。



かっこいい?
私のどこがだ。



あんな力のない練習して。
なんとなくバスケして。



「ありがとう。」
「いいなぁ、俺もバスケやってたんだよ。」



「へぇ、そうなんだ。
もうやらないの?」



「さすがに三年で入るのはきついだろー。
すぐ引退だし。」



こうして今話してる間にも、部活のメンバーは騒いでいる。



これ以上、長居したらもっと面倒くさいことになりそう。



「そりゃそうだよね。
じゃあ私は部室戻るから。」



半ば強引に会話を終わらせ、部室に戻ろうとした私を彼は呼び止める。



「優梨、待って。」



……だから、転校初日に名前で呼ばないでほしい。



女子も男子もこの年頃はいつだって勘違いしやすいんだから。