たとえ君がいなくなっても私は忘れない





「な、んで……?
なんで颯汰がいるの?」



わけがわからなくて、颯汰に聞いてみる。



理由が知りたい。
なんで、会いに来てくれたの?




「最後に優梨と会って、一年も経たないうちに………


植物状態の兄ちゃんが目を覚ましたんだ。
本当に奇跡だって。」



その優しい表情に、私の視界は涙で滲んでいく。



「でも俺が“裕太”として生きてる中で、本当にしんどかった。次期社長の肩書きを背負うのは。



だからそんな思いを兄ちゃんにさせられないって思って、俺は何も言わなかったんだ。



その話をして精神的にストレスを兄ちゃんに与えるのはダメだって思ってたか知らないけど、両親も言わなかった。



でも俺はそれでいいと思ってた。



そしたら兄ちゃんが退院する時に、姉ちゃんが俺のこと話してさ。



それ聞いた兄ちゃんが俺にガチギレして、『なんでもっと早く言わなかった!?』って。



そしたらその日に兄ちゃんが両親にキレて、『お前ら颯汰に何したかわかってんのか』って本気で怒鳴ってくれた。」



颯汰は笑っているのに、私は泣いてしまった。



颯汰が代わりとして生きていた、本当の“裕太さん”は、颯汰とお姉さんと同じで優しい人なのだと。