ずっと欲しかったその言葉。
愛してると、お互いを想い合う言葉。
直接じゃなくて、文字に残すとかずるすぎる。
一生私を縛る気か。
だけど………
少しルーズリーフを強く握ってしまう。
隅の方がクシャッと音を立てた。
「もう………颯汰は、いないんでしょ……?
今日からは、裕太さんになるんでしょ……?」
裕太さんへと変わった颯汰には、この言葉がなかったことにされる。
ただ、そんな颯汰自身の心の中にはこの気持ちが残っているんだと信じて……
昨日もらったネックレスを取り出す。
そして重い身体を動かし、洗面所へと向かう。
早速今日からつけよう。
“颯汰しか受け付けない”という意味で。
鏡を見る。
その鏡に映った私を見て、思わず驚いてしまった。
私の首についている、赤い痕。
独占欲が強い証。
最後の最後まで颯汰は………
私を泣かせるんだ。
ネックレスをつける。
赤い痕は隠れなくて見えてしまうけど、今はそれでさえも嬉しいと思ってしまう私はどうしたものだ。
もう、颯汰はいないけれど私は忘れないから。
というか忘れるわけがない。
そのルーズリーフと、このネックレスがある限り、私は颯汰のものだから………。