「………それじゃあ、ダメだ。」
颯汰はそんな私の気持ちを否定した。
辛そうな顔で。
そんな顔で言われても説得力ない。
「ここまでしておいて今更ダメだとかなしだからね。
一方通行でもいい。
私はずっと忘れない。
颯汰のことも、この気持ちも。」
誰かが憶えている限り、その人の存在は生きたままだから。
たとえ颯汰がいなくなったとしても、颯汰のことを憶えてるから………
「もう、帰ろうか。
このままだと離れ難くなる。」
颯汰は笑った。
見ている私まで苦しくなるくらい切なく。
多分伝わった。
私の気持ち。
だけど颯汰はそのことに関して何も答えずに立ち上がってしまう。
帰りたく、ない。
だけど颯汰を困らせてしまうだけだ。
ダメだと頭の中で何度も繰り返し、私も立ち上がる。
「送るよ、家まで。」
「そんな……結構遠いよ?」
「俺が会いたいって言って会ってくれたんだし、送るぐらいしたい。
それに……少しでも長く、そばにいたい。」
「………っ。」
なに、それ……。
本当にずるすぎるよ颯汰。



