「それなのに姉ちゃんだけが、俺のために説得してくれて。
無理だってわかってたけど嬉しかった。
俺の味方をしてくれた人がいただけで、俺は十分だって思った。
だから俺は兄ちゃん………裕太になるって決めた。
でもその時に最後のわがままだと思って、父さんに頼んだんだ。
少しだけでいいから、自分らしく生きる時間が欲しいって。自由が欲しいって。
それで、父さんは“高校の一学期”の間の自由を俺にくれた。最後に“颯汰”として生きれる時間を。
それだけで十分だって思った。
めいいっぱい楽しんで、それから“颯汰”は自分の中で消して
その後は“裕太”として生きようって。」
この時初めて繋がった、高校の時に言った颯汰の言葉。
少しの間、自由をもらったって颯汰は言ってた。
あの時は意味がわからなかったけど、今ならその言葉がどれほど重いものだったのかわかる。



