「優梨ちゃん!」



ぼーっと外の景色を眺めていたら、誰かが私の名前を呼んだ。



そちらに視線を向ければ、私の前の席に座った女の子がこちらを笑顔で見ている。




「また同じクラスになったね!」



その子は二年の時も同じクラスで一緒のグループだった、井上 沙良(いのうえ さら)ちゃん。



ロング髪の私と違って、ショートボブの少し茶色がかった髪色をしている沙良ちゃんはよく笑う可愛らしい女の子。



「そうだね。沙良ちゃんがいて良かった。」



思ってもないことを口にする私だけど、沙良ちゃんは嬉しそうな顔をした。



別に騙したいわけじゃないから罪悪感も感じない。



「あたしも優梨ちゃんがいて良かったー。
でも他の子は離れちゃったね。」



少し悲しそうな顔をする沙良ちゃんはきっと素でそういう顔をしている。



なんでそんなに悲しいんだろう。