たとえ君がいなくなっても私は忘れない





「え………?」




「いきなりなんですか?
それに俺は“颯汰”じゃなくて“裕太”です。


勘違いしてる上に適当なこと言わないでください。


これ以上邪魔をするんなら、今すぐ出て行ってください。」



冷たい声に、冷たい表情。
それから冷たい言葉が私の胸を突き刺した。



体の体温が一気に下がった気がした。



「………っ、優梨ちゃん……」



お姉さんはまた涙を流す。
そして颯汰のお父さんは満足そうに笑った。



おかしい、おかしいよ。



「………今!
目の前にいるのは颯汰だから!


私が間違えるわけない!
一緒にいた颯汰のこと、忘れるわけ」



「優梨ちゃん………もう、行こっか。」



そんな私の言葉を制するようにして、お姉さんが口を開いた。



涙を流しながらそう言われてはもう何も言えない。



そのお姉さんの表情が苦しそうだった。



お姉さんは周りに頭を下げてから私の腕を引いた。



自然と動く足。



会場を出る前、最後に見た颯汰の表情は………



お姉さんのようにすごく辛そうで
苦しそうな顔をしていて。



その表情は遠くからでもはっきりと見えた。