たとえ君がいなくなっても私は忘れない





「三兄妹、喧嘩することもなく仲良くしてたから厳しい親の元で育っていけた。


本当に、幸せだったの。
だけどそんな幸せさえも奪われたんだ、神様に。」



その時、信号で車が止まった。



お姉さんはようやく私の方を向いた。
その表情は私に訴えているように見える。



「お兄ちゃんが、事故に遭って………植物状態になったの。


今もずっと、お兄ちゃんは目を覚ましてない。」



私から視線をそらし、一瞬俯いたお姉さんはまた視線を前に戻す。



そんなお姉さんに対し、私は何も言葉をかけることができなかった。



私は、颯汰の何を知っていたんだろう。
何を知っていると思っていたんだろう。



何も知らないくせに、どうして好きだなんて言えたんだろう。



自分が悔しくなった。



それくらい、颯汰の………颯汰とお姉さんの抱えるものは大きかった。