颯汰と目が合えば、颯汰は優しく笑った。
それだけでドキッとしてしまう。
ねぇ、期待してもいい、よね?
こうやって抱きしめられて、キスもされたってことは………
私と、同じ気持ちだって。
「優梨だけは忘れないでって言ったけどさ、俺も優梨のこと絶対忘れないから。
本当に今までありがとう。」
そう言って、颯汰が私と距離をとる。
さよならの合図だ。
「じゃあな。
…………また、いつか会える日まで。」
颯汰なりに選んだ言葉なんだと思う。
いつか会える日まで。
その日まで私はずっと待ってる。
「うん、またね。」
今はこれを返すのが精一杯。
「じゃあ、先に優梨が帰って。
家入るまでここで見とくから。」
「え?なんで?」
「離れたくなくなるから。
今のうちに。」
「何よそれ。」
最後の別れ方まで颯汰らしい。
私は笑って、颯汰に手を振り背中を向けた。
家の前に着き、家に入る前にもう一度颯汰の方を見る。
街灯に照らされ、颯汰の姿が遠くから見えた。
颯汰は私に向かって手を振っている。
表情はわからなかったけど多分笑っているような気がした。
私も笑ってもう一度手を振る。
そして………
今度こそ、本当にさよなら。
そう心の中で呟いて、私は家の中へと入った。