たとえ君がいなくなっても私は忘れない





家の近くで立ち止まる私たち。



ほんの一瞬が、とても長く感じられた。



そしてゆっくりとつながれた手が離される。
温もりが離れ、冷めていく手。



颯汰を見れば、向こうも私を見ていて視線が交わる。



「……優梨。」



いつもより少し掠れた声で、颯汰が口を開いた。



返事の代わりに颯汰をじっと見つめ、視線をそらさない。



「ありがとう。
俺に、元気をくれて。」



「………え…?」



「じゃあな。」



その切ない表情が私の胸を締め付ける。
そんな顔で別れたくない。



だけど颯汰は私に背を向け歩き出す。



いつもなら、
“また明日”と言ってくれた。



金曜日の時は“また月曜日”って。



じゃあ今は、“また夏休み明けに”って言ってくれるものじゃないの?



やめてよ、“じゃあな”って何?
もう会えないの?



『ありがとう。
俺に、元気をくれて。』



……違う、違うよ颯汰。
逆だよ。



私が颯汰に元気を、勇気をもらってばっかだから今度は私が………



「………っ!」



気づけば足が動いていた。
颯汰の背中を追いかける。