「ありがとう。
頑張るね。」
嬉しかった。
自分の気持ちを話して、認めてもらえたことに。
逃げずにちゃんと向き合って
自分で決めた道を進めるってこれほど嬉しいんだって思った。
「……優梨を変えたのは、桐原っていう男の子なのか?」
「………え?」
不意に颯汰の名前が出てきて驚く私。
「なんで颯汰のこと知ってるの?」
「実は引退試合の日に突然話しかけられてな。」
引退試合の日。
あの日、颯汰とお父さんたち話してたんだ。
「何話したの?」
「話したっていうか、桐原くんに『優梨は頑張ってます。ちゃんと見てやってください。』ってお願いされてね。
大切に思ってくれてるんだなっていうのが十分伝わってきたな。」
颯汰………
私のために、そんなことお父さんに言ってくれたの?
今、どうしようもなく颯汰にお礼が言いたくなった。
颯汰と話したくなった。