今、思えばどうしてこの時私は振り返ったのだろう。



その男の声は明らかに大きい声で



私に話しかけたかどうかもわからなかったっていうのに。



いつもの私なら絶対無視してた。



振り向こうとも思わなかった。



だけどこの時は何かに引かれるようにして、私は振り向いたんだ。



そしてもう、この瞬間から始まっていたんだ。



彼……颯汰と私の二人の時間が、ここから。