「こんなんでよく三年までやってきたな。
毎回欠点とか?」



「いや、いつもギリギリ。


たまに欠点とったこともあるけど、提出物とかはちゃんとやってるから。」



「頑張っても報われないってことか。」
「うるさい。颯汰の方がバカかもしれないじゃん。」



颯汰の実力はまだ知らないから、今回のテストが楽しみだ。



「それはない。
俺すっごい賢いから。」



「どうかなぁ。」



確かに教え方は上手いけど。
意外と私よりバカだったりして、なんて。



「ほら、そんなこと言ってないで早くやる。
優梨は大学進学?」



多分、颯汰は何気なく聞いたんだと思う。



だけど私は軽く流せばいいものの、変に濁してしまう。



「あー、まだわからない、かな……」



引退試合以来、家にいるのが苦じゃなくなってきたけど将来選択のことはまだちゃんと話してない。



本気じゃない、と言われたから余計言いにくいのだ。



いつかは話さなきゃいけないことなのに。